


写真家・横山隆平の紛れもない一季節、言葉たちが紡がれ、ここにー。
街を歩けばそんなモノばかりが僕の前に躍り出てくるのだった。というよりも、僕の視線にこれまでに経験した全て、そして見聞きした書物や音楽、映像といった深く潜像していたそれらが色濃く、抗いようなく反映されているのでもあった。都市と反骨と自由—。いつだって変革は煌びやかなものらではなく、擦り切れる程に傷ついたそれらによって為されると、それらはまた語りかけているようでもあった。気付けばジーンズはいつだって傷つき破れているのだった。僕の過ごしてきた時間もまたおよそそのようなものだった。僕の写真は記録でも記憶でもなくて、風化していゆく現在である。
横山隆平 Ryuhei Yokoyama
写真家。1979年大阪府生まれ。「都市とは何か」をテーマとし、モノクロフィルムによるストリートスナップを中心に作品を展開。流動する都市の姿を、視点やアプローチを変えながら制作を行う。主な作品集に『風に転がる紙屑に書かれたような美しい、光と踊るネズミのグラフィティ史』(2018、BUFFALO PRESS)など。
2020年から取り組む〈WALL〉シリーズでは、撮りためたグラフィティアーカイブを用いながら紫外線で瞬時にインクが硬化するUVプリントの技術を活用し、幾重にも出力を重ねる独自の手法で制作を開始。インクが層を成し、徐々に立体的な質感をつくりだすことで、視点の角度によって異なる表情が現れる「半立体」とも言える新しい写真表現を生みだしている。VOLTA NEWYORK 2022(アメリカ・ニューヨーク)、2019年『第8回大理国際写真祭』(中国・大理)、同年のグループ展『offthe record vol.12 aube artistique』(フランス・パリ)など、国内外で作品を発表。
2023年3月1日 刊行
著者:横山隆平
発行者:大垣守可
発行所:ギャラリー・ニュートラル
京都府京都市上京区皀莢町287堀川新文化ビルヂング2F
https://horikawa-shinbunkabldg.jp/